コンデンサについて(RC回路の時定数測定)

実験

はじめに

以前の記事(Arduinoで静電容量タッチセンサーを作る!!) でタッチセンサーは、コンデンサの充電に要する時間を計測することで人が触れているかどうかを検出していることを学びました。

今回は、コンデンサの充電にかかる時間について実験していきたいと思います。

使用したもの

  • 5V電源
  • 抵抗2kΩ
  • コンデンサ1000μF
  • オシロスコープ

実験手順

実験手順は下記です。

  1. 回路を作成する
  2. 5Vの電圧を入れる
  3. コンデンサにかかる電圧を観測する
  4. 時定数τを読み取って、理論値との誤差を調べる

実験概要

時定数τとは?

最大電圧 E の63.2%になるまでにかかる時間です。
電源をONにして、0.632E になるまでにかかった時間です。

一言で簡単に説明すると、コンデンサの充電にかかる時間を表しています。

τの値が大きければ大きいほど、充電するのに時間を要するということです。

「時定数τ」と「コンデンサにかかる電圧」の算出式

時定数τの算出式は下記のように求められます。

τ = C × R

C:コンデンサの静電容量
R:抵抗

本実験では、2kΩの抵抗と1000μFのコンデンサを使用しているので、時定数は

τ = 2 [kΩ] × 1000[μF] = 2 [s]

電源電圧(5V)の63.2%は、

5 × 0.632 = 3.16 [V]

なので作成した回路は、電源をONにしてから 2秒後 に 3.16V に理論的にはなります。
実験して確認してみましょう!!

回路図

実験結果

下記が測定波形です。

理論値通り!!!


発展

充電時の電圧変化

コンデンサが電源電圧Vmaxに向かって充電されるときの電圧V(t)は次のように表されます。

RC回路の充電時、時間 t が経過するごとに、コンデンサの電圧 は以下のように変化する。

63%⇒87%⇒95%、、、、と変化していきます。

今回の実験結果は下記のようになり、誤差率5%ほどの精度で測定できました。

1. RC回路の時定数のその他の利用方法

(1) 電圧の変化を緩やかにしてノイズ耐性を向上

🔹 時定数を使って電圧の上昇を緩やかにすることでノイズ耐性を向上させることができます!

  • スイッチング回路での 突入電流(インラッシュカレント)を抑制
  • 電源ラインのノイズフィルタ として使用し、急激な電圧変動を抑える

👉 どれくらい緩やかに電圧を変化させたいか を時定数 τで予測し、それに合わせた R と C を選ぶことで設計できる。


(2) 電源ON時のスムーズな起動(ソフトスタート回路)

  • 時定数を大きくする と、電源ON時に電圧がゆっくり上昇し、部品への負担を減らせる
  • :マイコンやオペアンプの突入電流を抑える
  • 設計方法
    例えば、3.3V の電源を 0V → 3.3V に 100ms かけて上昇 させたい場合、 τ=100msに近い RRR と CCC の値を選ぶ

(3) パルス信号のデジタル化(デバウンス回路)

メカニカルスイッチを押したとき、接点のチャタリング(バタバタした信号)をRC回路で抑制

まとめ

RC回路の応答速度を決める重要なパラメータであり、さまざまな用途で利用できます。
充電にかかる時間を読み取ることによって、人が触れてる、触れてないを調べる静電容量センサに使用されている。

下記画像の
Tの時間が長い ⇒人が触れてい
Tの時間が短い ⇒人が触れていない


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