今回から、村田製作所(Murata)のDC-DCコンバータ「LXDC55」 を評価していくシリーズを始めます。
実は今回のシリーズを始めようと思ったのには、ちょっとした理由があります。
数年前、秋月電子通商で「村田のDC-DCモジュールを使ったキット」が破格の450円で売られているのを見つけて、面白そうだなと思って買ったんですが…そのまま未開封で放置していたんです。
袋に入れたまま引き出しで眠っていて、「そろそろ使わないと、このまま一生開けない気がする…」と最近ようやく思いまして、、、

そこで、
「せっかくだから、この機会にしっかり評価してみよう」
と考えたのが今回のシリーズ開始のきっかけです。
というわけで、今回から、村田製作所(Murata)のDC-DCコンバータ「LXDC55」 をじっくり評価していくシリーズを始めます。
まずはシリーズ第1回、
“無負荷で動かしてみた初期チェック” から。
LXDC55とは?
村田製作所の LXDC55シリーズ は、一言でいうと**「電圧を変換するチップ(DC-DCコンバータ)」**です。
なぜ電圧変換(DC-DCコンバータ)が必要なのか?
1. 部品を守るため
マイコンやICは、3.3Vや5Vといった安全な動作電圧が決まっています。
例えば、12Vのバッテリーを3.3Vで動くマイコンに直接つなぐと、高電圧で部品が壊れてしまいます。 LXDC55は、この**高い電圧を安全な電圧に下げて(ステップダウン)**供給するために必要です。
2. 電力をムダにしないため
電圧を下げる別の方法(三端子レギュレータなど)もありますが、これらは不要な電圧を熱としてムダに捨ててしまいます(低効率)。
LXDC55のようなスイッチング方式のDC-DCコンバータは、エネルギーを効率良く変換するため、発熱が少ないです。
キットの作成
まずは、ピンのはんだ付けから。

この秋月のキット、基板の反対側(画像,黒丸部)には 可変抵抗を取り付ける場所があります。
ここに可変抵抗を追加すると、
出力電圧を任意で調整できるタイプ
として使用することができます。
ただ今回は、キットがもともと
「5V固定出力」
として設計されているキットなので、使用しません。
セッティング
まずは 12V の電源を接続し、デジタルマルチメータで出力電圧を測定してみました。
すると 1/100 の位までピタッと 5.00 V を示していて、思わず「おおっ」と声が出る精度。
想定以上に誤差が小さく、驚きました。

そこでデータシートを確認してみると……
オシロスコープで波形測定
続いて、立ち上がり時間をオシロスコープで観察。
電源を印加してから 約 800 µs 後には 5V 出力がしっかり安定 していることが確認できました。
小型 DC-DC とは思えない立ち上がりの速さで、さすが村田製作所の LXDC シリーズ、といった印象です。

まとめ
今回はキットを組み立て、無負荷での出力電圧と立ち上がり特性を確認しました。
精度も立ち上がりも優秀で、ひとまず良いスタートです。
次回予告
次回は 負荷をつけて電流を流しながら、どれくらい電圧が安定するのかを評価していきます。


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